O157

トイレに駆け込む女性

O157の症状と経過

O157は腸管出血性大腸菌による感染症を指すことが多く、感染力が強いことで知られています。
日本でよく知られるようになったのはつい最近のことで、1996年5月、岡山県の学校給食によって起こった食中毒事件がきっかけでした。
その後もO157による感染症はニュースに登場するようになり、原因としてカキなどの2枚貝が取り上げられていたものです。
O157に感染する原因は、主に十分に加熱していない食材です。
たった100個の菌であっても、すぐに増殖し、発症、食中毒を引き起こします。
さらに感染者の便によって、簡単にほかの人に感染し、拡大していきます。
O157菌の特徴はベロ毒素です。
大腸粘膜に取り込まれると、リボゾームが破壊され、たんぱく質が合成されなくなります。
たんぱく質が不足すると細胞は壊死し、感染後、2~3日程度でひどい腹痛に血便が起こります。
さらに血中にもベロ毒素が入り込み、血球、腎臓尿細管細胞が壊され、溶血性尿毒症候群や急性脳症を引き起こします。
また牛など家畜の糞からもO157菌が検出され、肉に付着することも十分考えられます。
しかしO157は加熱すると死滅することが分かっており、ひき肉などを使用する場合は、中心が75.1度以上にすることで、感染予防ができます。
なお、生レバーや生センマイのように殺菌されていないものは、抵抗力の弱い高齢者や乳幼児にとって危険です。
医療機関でもO157に対しては注意喚起を行っており、発症者が出た場合の対応に追われます。
老人福祉施設などでもO157感染者の報告が上がっており、医療機関だけではなく、介護施設でも問題となっているのです。
なお、O157は下痢止めを服用した場合、ベロ毒素の排出が泊まり、重篤化したり、死亡率が上がることになります。

日本におけるO157

日本で最初にO157の記録が確認されたのは、1984年、大阪府に住んでいた2歳と5歳の兄弟の発症です。
しかしこのころは腸管出血性大腸菌についてまだ知識がなかったため、検査は行われず、1985年に改めて保存されていた便を調査士、弟のほうからO157菌が検出されました。
兄のほうはベロ毒素の活性を抑える交代が確認されています。
尚同じとしには川崎市の患者、さらに東京都にある小学校で集団感染が確認されています。
1990年には埼玉県の幼稚園で2名の志望者を出す集団感染が起こり、その原因が井戸水であると判明しました。
1996年にはO157集団感染が目立つようになり、医療機関も注意喚起を促すようになりました。
これをきっかけに、衛生管理を徹底し、食材納入時にはチェックをいれ、温度計による中心温度のチェックが行われるようになりました。
ほかにも1997年に176件の発生、1998年特別養護老人ホームでの集団感染、2002年の老人保健施設での集団感染、2005年の特別養護老人ホームでの集団感染、2009年には大手飲食店で発生、2011年には大手焼肉店、2012年は北海道の漬物工場で発生しています。
いずれも多数の死者が確認されており、O157がどれだけ怖いかということを世に知らしめました。
十分な加熱、手洗いの励行など、予防できるところから予防していくしかないのです。